中国茶、紅茶、日本茶、お茶のことをあれこれと。
武夷岩茶の魅力
季節は、春に向かっているとは言え、まだまだ寒い日が続いています。冷え込んだ寒い夜には、暖ったかなお茶を飲んで、身体も心もあたためたいものですね。お茶を多少知っている方なら、「お茶はカラダを冷やすのでは?」と思うかもしれませんが、実は、お茶でもカラダを暖めてくれるものがあります。例えば福建省北部の岩山で作られる「武夷岩茶」。今回は、心とカラダを暖めるその岩茶の魅力にせまって見ましょう

寒いから暖かいお茶を飲みましょう。

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寒さで身体が凍えてしまうと、なかなか暖房だけではあったまりませんね。そんなときには身体の中から暖めるのが一番。「熱燗と肴で一杯が一番!」とか「やっぱ、ホットココアでしょう!」なんていう人も多いでしょうけれど、たまにはお茶で温まるのもほっこりできて良いものです。

時々立ち寄る茶藝館で、湯の沸く音を聞きながら、のんびりと工夫茶でお茶を淹れるのもよし、営業からオフィスに帰ってきたときに、茶漉し付きのマグカップでのむのもよし。いろんな飲み方が出来てしまうのが、暖かくなるお茶の楽しみでもありますね。

お茶はカラダを冷やす?

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ところで、香港では、「バーベキューをした翌朝は、緑茶を飲むと良い」と言われるそうです。バーベキューの肉は、漢方の考え方では、カラダに熱を持たせるのですが、緑茶を飲むと良いというのは、その熱を取り除く「寒性・冷性(かんせい・れいせい)」が茶にはあるからです。日本人の感覚からするとなんだか矛盾するようですが、暖かい緑茶を飲むと、からだの火照り等が取れて、スッキリするのです。

中国では昔から「陰陽論(いんようろん)」という考え方があります。

少々説明すると、「陰性」とは、エネルギーが身体の中心から外に逃げることを意味します。言葉で表現すると、「密度を薄くする」、「伸びる」、「緩む」などの拡散性のエネルギーで、また「冷たくなる」といった性質を持っています。

逆に「陽性」とは、エネルギーが外から中心に向かうことを意味し、「密になる」とか「濃度が高くなる」という表現が当てはまります。またエネルギーが集中するので、熱が生まれ、「暖かくなる」という特徴を持っています。この考え方を食品に当てはめて考えたのが、「食養論(しょくようろん)」と呼ばれるものでした。食養論では、お茶は基本的には、陰性に属する物と考えられています。

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唐代に活躍した茶聖・陸羽(りくう)の「茶経(ちゃきょう)」という本の中には、茶の性質が「寒」であることが取上げられていますが、これは道教の五行の考え方から来ているもので、明代に李時珍(りじちん)によってまとめられた「本草綱目(ほんぞうこうもく)」にも書かれるようになる茶の性質です。「寒」だからこそ、倹の徳のある人が飲むにふさわしいとして、具体的な効能を陸羽は「茶経」に掲げています。

全ての茶がカラダを冷やすのか?

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では、全ての茶が体を冷やすのでしょうか?

実は、この「本草綱目」には、福建省北部に連なる武夷山(ぶいさん)で作られる岩茶だけは、茶のなかでも「温」であることが書かれています。恐らく、岩肌に根を張ったお茶が、岩に含まれるミネラルを吸い上げた結果、普通の土でそだったお茶にはない効能をもった、素晴らしいお茶に育つのでしょう。

もちろん、武夷岩茶だけでなく、普[シ耳]茶や紅茶なども身体を温める「温性」に属するお茶であるといわれていますが、味、香り、そしてその華やかな美味しさを考えると、やはり「温性」の代表としては、この岩茶を先ずこのお茶を取上げなくてはならないでしょう。

武夷岩茶とは?

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中国福建省北部に武夷山という山の連なりがあります。三十六峰、九十九岩といわれるように、奇峰、奇岩が林立するこの山の麓では、古くからお茶作りが行われていたそうで、南北朝時代(479年)には「晩甘猴(ばんかんこう)」という名前のお茶が武夷山で作られていたといわれています。また、唐の時代には氏族階級の人々に楽しまれていたといわれ、宋や元の時代には、皇帝への献上茶となり、盛隆を究めました。元代の大徳6年には、武夷の渓流で知られる九曲渓の中の四曲に皇帝献上用の茶を作る茶畑が設けられています。

元代は、宋代の流れを受けていますので、作られていたのは緑茶ベースの団茶(だんちゃ)だとされていますが、いまでは、青茶のメッカ。特に、連なる奇岩の割れ目や窪地などに、様々な品種の茶樹が一、二株ずつ自生しており、岩のミネラル分をたっぷり含んだ武夷岩茶は、特に「岩骨花香」といわれれる「岩韻」を持つお茶であるといわれ、それを楽しむのが正しい飲み方だとされています。(このお茶の作り方は、Close Up「それぞれの青茶の作り方」を参照してください。)。

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明代になり、蒸茶から釜炒り製法に変ったため、三紅七緑の烏龍茶製法が考案されました。それにより、現在の武夷岩茶の基礎が誕生したのもこのことであるといわれています。17世紀には、欧州に輸出されるようになり、現在の紅茶発展へと繋がっていくという歴史的は背景を持った、中国茶の歴史の中にあっても、非常に重要な位置を占めるお茶だといえるでしょう。

清代から親しまれた岩茶

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清代の美食家として有名な袁枚(えんばい)は、龍井茶(ろんじん茶)、常州陽羨茶(じょうしゅうようせんちゃ)、洞庭君山茶(どうていくんざんちゃ)などを好んだようですが、この武夷岩茶に対しては、最大級の賞賛の言葉を「隋園食単(ずいえんしょくたん)」という書物に残しています。

彼は、岩茶の素晴らしさを「まずその香を嗅ぎ、それからその味を試み、徐々に嚼みしめてこれを吟味すると、なるほど清香は鼻を撲って、舌に甘みが残る。一杯の後、重ねて一、二杯を試みるに、人心を平静ならしめ、情性を悦楽せしめる。」(「隋園食単」岩波文庫237ページより引用)と表現しています。

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袁枚にも愛された岩茶は、その数が非常に多いといわれています。武夷山中に生えているブッシュの一本一本がすべて異なる茶で、様々な名前が付けられているのです。慧苑岩(すいえんがん)の蜂巣坑(はちのすこう)には鉄羅漢(てつらかん)、慧苑岩の火焔峰(かえんほう)下の外鬼洞(がいきどう)には白鶏冠(はっけいかん)といったように、どこの岩にこのお茶という具合に生えているのが特徴です。

岩茶の種類

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岩茶には、上奇種、奇種、名種、小種という種類があり、上奇種から順に品質が低くなっていくと言われています。これらをすべてあわせると数百種あるといわれます。

また、作られる場所によって、正岩茶(中心部産)、半岩茶(山麓茶)、州茶(周辺の茶畑産)と茶葉の採れるところによって等級化されています。

その中でも、上奇種であり、もちろん正岩茶である4大岩茶と呼ばれるのが、「大紅袍(だいこうほう)」、「鉄羅漢」、「水金亀(すいきんき)」そして「白鶏冠」です。

身体とこころを暖める「おすすめ岩茶」

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数ある岩茶の中で、その頂点に位置しているのが、大紅袍です。天心岩の九竜窟の壁面上に育っている、四株の天然木で樹齢350年以上の茶樹から採れる茶葉ですから、ほとんど私たちの口には入らない代物です。そのため「幻の岩茶」といわれていますが、今ではこの茶樹から挿し木した第ニ世代、第三世代のお茶が栽培されており、市場でも見かけるようになりました。しかし、大紅袍をいきなり勧めるのも気が引けるので、まずは入手しやすい「肉桂」、「金鎖匙」、「北斗」などの岩茶から試してみてはいかがでしょうか?

身体や心と同じように、懐も寒くい人には、例えば、「黄旦」、「不知春」、「金柳条」などの岩茶はいかがでしょうか?いわゆる「奇種」のお茶になりますが、質の良い物でも、「上奇種」の「四代岩茶」に比べれば、数段値段は安く、そして、香りや味は負けないものがあります。

これらの岩茶は、今では多くの茶荘で取り扱っていますので、是非まだ飲んだことが無いという方は、一度試飲をしてみてください。岩茶の専門店も日本には3軒あります。老舗の「岩茶房」(東京目黒)、その系列の「岩茶沙龍」(京都)、そして神戸岩茶荘FANFAN(神戸三ノ宮)。これらのお店では、沢山の種類の岩茶が飲めますし、販売もしています。

寒い冬の夕暮れ時、こんな岩茶で、身体と心を温めてくださいね。


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緑苑&悟空茶荘
横浜中華街にこのところちょっとした異変が発生しています。老舗の悟空と緑苑が新装オープン。老舗ぞろいの中華街だからこそ、ステキなお店に仕上がっています。今回は、その新生悟空と緑苑を御紹介しましょう。♪




緑苑

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石川町から横浜中華街に入っていくと、入り口からほど近い場所に緑苑があります。以前は通りの中ほどに、小さな間口のやや入りにくそうなお店としてあった緑苑。中国茶フリークなら、気にもしないで入るお店なのですが、一般のお客さんにはちょっと暗くて入りにくいなという印象がなきにしもあらずでした。岩茶では定評のある緑苑なので、もったいないなあと思っていましたが、ついに新店舗がオープンしました。以前のお店からすぐ横の角地。立地はなかなかで、お店も今までの暗さは微塵も感じさせないような明るい色彩でカラーリングされています。

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1階が主に茶葉を扱っています。鉄観音、岩茶や茉莉花茶の品揃えはなかなかのもの。質も定評があります。そして新たに出来た2階は茶器専門です。紫砂の茶壷などがいろいろと揃っていて、一度覗いても損は無いはず。

新店舗が出来たため、旧本店は閉店しましたが、直営の茶藝館「茗香閣」はそのまま営業しています。

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□ 緑苑
  住所:横浜市中区山下町220
  電話:045-651-5651
  営業:11:00~21:00
  定休:木曜
  http://www.ryokuen.co.jp/




悟空茶荘

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さて、次は、中国茶専門店一筋の悟空。最近では、立川やお台場にも支店をだす人気ぶりですが、本家横浜中華街で、新たな展開がありました。従来山下公園に近い蘇州小路にあった悟空2号店が場所を移してリニューアルオープン。名前も新たに「悟空茶荘」となりました。以前のお店よりも広くて、茶葉から茶器まで、様々に並んでいる1階。あれもこれもとほしくなるような小物までいっぱいに展示されています。

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取り扱う茶葉も台湾の青茶から大陸の黒茶までさまざま。値段も安いものから超高級品まで。その幅は、さすがに老舗ならではの品揃えです。

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二階に登ると、そこはステキな上海の茶館をイメージしたという茶館になっています。横浜中華街では、三希堂、茗香閣に続く3件目の本格的茶館といえるでしょう。お茶のメニューも悟空ならではの品揃え。青茶、紅茶からおすすめの緑茶に南糯白毫まで会ったのには驚きでした。また軽食やデザートも揃っていて、値段もリーズナブル。ステキな茶器でサーブされるお茶を飲みながら、ほっと一息つきにはもってこいの茶カンダといえるでしょう。

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□ 悟空茶荘
  住所:横浜市中区山下町130
  電話:045-681-7776
  営業:11:00~21:00
  定休:無休
  http://www.goku-teahouse.com/


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