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中国茶、紅茶、日本茶、お茶のことをあれこれと。
茶外の茶ってなに?
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お茶と呼ばれる様々な茶外茶(八寶茶)

一般的には、「茶」はカメリアシネンシスという植物の葉を加工したものと定義されています。しかし、「お茶」と呼ばれる飲み物は、必ずしもカメリアシネンシスで作られた「茶」以外のものも多くありますね。たとえば、日本の「麦茶」などはその代表選手。また、ハーブティー(薬草茶)などもお茶に分類されることが良くあります。中国では、これらのカメリアシネンシス以外の植物で作られたものを「茶外之茶」(茶外の茶)と呼んでいます。

カメリアシネンシス以外の植物から作られる茶外の茶としては、樹木の葉や茎、コケなどを茶葉のように製茶したもの、さらに乾燥した果物などを混ぜたものなど、様々なものがあります。多くの茶外の茶は、古くから健康茶(保健茶)として利用されています。

また、茶外の茶には、緑茶などの茶葉に他の植物などをブレンドしたものも含まれる場合があります。「花茶」はその代表ですが、その数が多くあり、またその歴史的経緯からも、「花茶」という一つのカテゴリーとして認識されていますので、茶外の茶には花茶を含まないのが一般的です。

ただし、花だけを使って入れた飲料は、茶外の茶に分類される場合もあります。このあたりは、きっちりとした分類を求めてしまう日本人としては、なんとなく混乱しますが、思いのほか中国茶の分類も「おおらか」というか、結構「いい加減」なところが多かったりします。

さて、中国における茶外の茶の代表的なものを掲げてみると、茶葉を使わない茶外の茶としては、菊花茶、洋菊茶、甜茶、苦丁茶、蓮芯茶、桑寄生茶、羅漢果茶、苦瓜茶、雪茶、虫屎茶、羅布麻茶などがあります。

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茶葉を使った茶外茶(菊普茶)

また、茶葉に他のものをブレンドしたりして作られるものとして、八宝茶、柚子茶、菊普茶などを掲げることが出来るでしょう。これなどは、いわゆるバリエーションティーとして扱うことが出来るようなものですね。さらに、油茶、女乃茶、バター茶、三道茶などの民族茶も茶外の茶として取り扱われる場合があります。

そこで、いくつかの代表的な茶外の茶を紹介してみることにしましょう。

苦丁茶 (Ku Ding tea)

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オーソドックスな苦丁茶

中国茶をあれこれ知ろうとすると、必ず行き当たるお茶に苦丁茶(くーでぃんちゃ・くていちゃ・くちょうちゃ)があります。おそらく茶を「苦菜」としていたころからの伝統があるため、「中国茶」との関連が非常に強いからでしょう。そしてお茶と似たような性質を持つこの苦丁茶は、「富丁茶」「野生一葉茶」「一叶茶」「一叶苦茶」などの様々な名前で親しまれ、中国茶の教本にも名前が登場します。

この苦丁茶は、歴史的に古い茶とされており、別名「瓜芦」とも呼ばれ、皋盧、瓜盧、過羅、物羅などとも表記されてきました。陸羽の書いた『茶経』には、『桐君録』(後漢時代の書物)を引用した苦丁茶に関する記載が見られ、古くから広東省や海南島などで飲まれたものと考えられてきました(しかし、様々な説があるので、明確には不明。)。また、『本草綱目』(明代)にも「皐蘆」の名が記述されています。

味や効能は、昔から「炭鉱で働く工夫を眠らせないために飲ませた」という話も残されているように、お茶同様に覚醒効能を持ち、非常に苦い味であることが特徴です。

中国南部原産のモチノキ科の苦丁樹(Ilex kudingcha:四川省など)と イボタノキ属の冬青( Ligustrum robustum:広東省、雲南省など)が主な原料として知られています。苦丁樹は日本でも中国から伝来し、「はがきの木」として本州中部地方以南では神社仏閣等によく植えられているのだそうです。

この苦丁茶にもいくつか種類がありますが、オーソドックスなものとしては、広州省で作られる大埔苦丁茶と雲南省で作られる雲南冬青科苦丁茶があります。どちらも味はとても苦く、糖尿や、高脂血症等に良いとされています。

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様々な形の苦丁茶

10年ぐらいまえから、芽の部分を緑茶のように製茶したとても緑の美しい苦丁茶も出回るようになりました。イボタノキ属の Ligustrum robustum で、「青山緑水」というような名称がつけられています。

飲み方としては、普通の茶と同様に茶葉として淹れる方法や、烏龍茶のコクを出すために、微量を烏龍茶とともに煎じる場合もあります。

虫糞茶(ちゅうふんちゃ)

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一見グロテスクな虫糞茶

虫糞茶は、その名前と画像のとおり、なんだかすごく一見グロテスクに見えますね。

初めてこれを飲んだ人の勇気を褒め称えたくなりますが、名前や見かけの通り、特定の植物の葉だけを食するヤガ科とメイガ科の蛾の幼虫の糞を集めたもので、虫屎茶(ちゅうしちゃ)、虫茶(ちゅうちゃ)、龍珠茶(りゅうしゅちゃ)、茶精(ちゃせい)、化香蛾茶(かこうがちゃ)、三葉虫茶(さんようちゅうちゃ)などとも呼ばれるています。

カメリアシネンシスの茶葉を食すものはなく、たとえば、トウチャ(ブドウ科)、コナシ(バラ科)、ノグルミ(クルミ科)などの葉を食べたものなのです。もちろん、虫が食べる茶の違いとそもそもの虫の種類によって、出来上がる虫糞茶も異なるタイプがあり、コナシを食べて出来たものは三葉虫茶、ノグルミを食べて出来たものは化香蛾茶と呼ばれています。

主に、中国広西省桂林市の龍勝県周辺や湖南省南部で生産されているといわれ、さらには貴州省や四川省などでも少量生産されています。

もともとは、お茶に関係の深い苗族(ミャオ族)の間で飲まれ始めたものが、香りや味が良いと評判になり、東南アジアなどでも飲まれるようになったのだそうです。木桶に葉を入れ、葉を食べた幼虫が排出した小さな糞を集め、天日干しあるいは釜で乾燥させて作られます。中には、茶葉と虫糞茶とハチミツを混ぜて乾燥させた製品もあります。

この虫糞茶は『本草綱目』に記載されており、それなりに歴史があると言われています。

実際に飲んでみると、プーアル茶に似た色の茶で、もちろん「糞」のような臭はまったくしません。むしろ、茶の香りがきちんとし、茶の味わいとしては蜂蜜の甘みを感じられるほどです。

葉を蛾の幼虫が食べる際に酵素分解され、リジン(アミノ酸)生むため、うま味が増えるともいわれ、さらに、善玉菌が多く含まれるために、健胃作用、整腸作用、止瀉作用、止血作用など、薬効が多くあるといわれています。


雪茶

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白雪茶

雪茶は、一時期日本でも話題になった茶外之茶です。ガイド平田にも、以前テレビ局から「どこで買えますか?」といった取材があったことがありました。

雪茶は、植物の葉を使った茶というのとは違って、見た目は白い枝状のもの。標高4000mを超える雲南省麗江の玉龍雪山の雪原に自生する地衣類に属するムシゴケ(Thamnolia vermicularis Ach.)から作られるのです。この植物は、1年に僅か1mmしか成長しないといわれ、一年中解けることのない雪山の中で成長する極めて強い生命力を持つ植物です。そのため、非常に貴重なものとして、昔から飲み続けられたのだそうです。

地茶、太白茶という別名もありますが、色が白いため、雪茶と呼ばれるようになりました。『本草綱目拾遺』にも「雪茶は本来非茶類である。草の芽の一種で、摘み取ったらあぶって飲む」と記載されています。また明代は皇帝に献上されたといわれています。

普通、この雪茶は1~2g程度を煮出して飲みますが、味は淡く微妙に甘さと苦味を持った味わいで、香りはあまり特徴はありません。

効能としては、肝臓を鎮静させ、胃腸を暖め、血圧を降下させる効能のほかに、糖尿病、急性・慢性咽喉炎などにも効果があるといわれています。ただし、一時期、テレビ番組などで、ダイエット効果があると報道されたことから、非常に人気がでたため、過剰に摂取する人も多く、中には肝機能低下が見られた報告事例もあります。

雪茶の健康被害については、平成15年には厚生労働省のホームページに「都道府県等から報告されたいわゆる健康食品に係る健康被害事例について」として取りまとめられ公表されています。ただし、これは摂取過多に寄るもので、普通に飲用することで健康被害が発生しているわけではありません。過ぎたるは及ばざるが如しの実例といったところでしょうか。

なお、雪茶と同類のお茶として、「紅雪茶」とか「鹿心(血)茶」と呼ばれる、まるで細かい海草が絡まったような茶があります。これは湯を注ぐとその液が鮮やかな赤い色をする奇妙なもので、雪茶同様、コケ類を茶のように飲用するもので、ローズヒップの茶のような真っ赤な茶の色は、とても綺麗でちょっと見惚れるのですが、味のほうはおいしいというより体にはいいかなという感じでした。

柚茶

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真っ黒なボール状の柚子茶

茶と柑橘類の関係は、相当古くから見受けられます。陸羽の『茶経』の中にも、煮出した茶に葱や、生姜、柑橘類の皮などを混ぜ合わせることが記載され、陸羽はそんな飲み方は茶をドブにすてるようなものだと酷評していますが、しかし、逆に言うと、そんな飲み方が陸羽以前では一般的に行われていたということでしょう。

その柑橘類と茶を用いた飲み方は、いまだに現存しており、香港などでは、古いプーアル茶と陳皮を一緒に保存したお茶が珍重されたりしています。

おそらくそんなお茶の発想と原点は同じなのでしょう。福建省を中心とした地域では、以前から「柚子茶」と呼ばれるお茶が存在しています。それは、ちょうどグレープフルーツぐらいの大きさの柑橘果実の中身をくり抜いて、そこに水仙種などの烏龍茶の茶葉を入れて、紐で縛り乾燥させたお茶なのです。

柚子の皮と烏龍茶を一緒に乾燥して陳年化させることで、時間がたつと柚の香りが茶葉にしみこむという仕掛けです。からからに乾燥して、陳年化が進んだお茶を崩して飲むわけですが、飲むときには、柚の皮も一緒に崩して飲んでしまうというわけです。

陳年化した柚子は、真っ黒でからからになっていますので、保存状態によっては、それを一緒に飲むというのは勇気が要りますが、まあ、中のお茶だけ穿り出して急須に入れ、洗茶して飲んでもいいのでしょう。このお茶は、一般的には陳皮の効能と同じように、芳香性健胃、食欲不振、嘔吐、疼痛などに対して効き目があるといわれています。


桑寄生茶(そうきせいちゃ)

この茶はヤドリギ科(桑寄生科)の植物から作られるお茶です。実は、この植物は、他の植物に寄生する「寄生植物」です。

原産地は福建省、広東省、雲南省、広西壮族自治区などの中国西南部で、日本や韓国にも分布しています。サザンカ、茶の木、ブナの木などに寄生する低木で、真ん丸く他の木の幹や枝に寄生するので、ヤドリギと呼ばれています。その葉は、細長く先端が丸い小さな肉厚の葉っぱが生えます。

主に伸びた枝に生える葉を対象に摘んで天日に晒した後、乾燥した葉を細かく刻んだものを、普通の茶と同じように飲用します。古くから漢方の生薬としても利用されてきた植物であり、健康飲料としても用いられてきました。

効能は、肝臓腎臓の働きを助け、腰痛などに効果があり、骨を強くし、産前の胎児の安定に効果があるといわれています。また、最近の臨床検査によると、血圧低下、コレステロール低下、抗菌作用などがあるといわれています。

5g程度の茶葉を300ml程度の湯で煮出して飲みますが、味はやや苦味があるため砂糖を入れて煮出すとよいとも言われます。また、漢方薬の本などによると、生卵一個に茶葉30~60gと砂糖をいれ、煮出して飲む方法なども記載されています。

また、この茶汁を利用して作った煮卵は、「桑寄生紅棗蛋茶」などと呼ばれ、香港などでは非常にポピュラーな料理として知られています。

そもそも、ヤドリギは何故他の木に寄生できるのか、このお茶の存在を知ったときに疑問に思ったのですが、秋に実ったこの桑寄生の実を小鳥が食べ、他の木に糞として種子を落としていくので、このように他の木について繁殖するのだそうです。

以上、有名な茶外の茶を少しだけ取り上げてみました。

まだまだカメリアシネンシス以外の植物を使ったさまざまな「茶」がありますから、是非探してみてください。お茶の世界がより広がっていくことでしょう。


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