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中国茶、紅茶、日本茶、お茶のことをあれこれと。
聞香杯は本当に「もんこうはい」か?
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長い間、「聞香杯」は「もんこうはい」だと思い続けてきた。ところが、数ヶ月前に、「なぜ日本では、聞香杯を「もんこうはい」と呼ぶんでしょうか?」という疑問にであった。まったく思っても見なかった疑問だったので、ちょっと目が点になった。「もんこうはい」でないのなら、いったいなんて呼ぶんだろうか?

そこから、あれこれ聞香杯の読み方を調べてみた。

日本で出版されている中国茶の本のほとんどが、この「聞香杯」を「もんこうはい」と表記している。Googleで「もんこうはい」を検索すると、かなり多くのサイトをヒットする。もう一つ想定しうる読みである「ぶんこうはい」で検索をかけるとたった4件しか表示されない。しかもその一つは「ぶんこうはい」という表示が間違いであるとの説明がされているサイトであった。

日本でも「聞香」という字があるからには、日本でもその語源があるはずで、こうなったら「広辞苑」と「大辞林」をひいてみるしかないと思い、まず「もんこう」をひいてみた。ところがだ、両方とも「もんこう⇒ぶんこう」となっており、「ぶんこう」を参照せよとなっている。つまり、「聞香」の読みとしては、ぶんこうが正統派であることを示しているではないか。

「ぶんこう」をひいてみた。両方ともまったく同じ記載で「香りをかぐこと。香りをかぎわけること。」とある。
いくつかの漢和辞典をしらべてみても、同様に「ぶんこう」を見出しにしている。

このようにして行き当たったのは、日本語の読みとして、「聞香杯はほんとうは「ぶんこうはい」と読むのが正しかった、あるいは元祖だったのではないか」という結論だった。

では、「ぶんこう」という言葉はほかに使われているのかということだが、どうやら香道で、香の匂いをかいで、その種類をあてることを「聞香(ぶんこう)」と読んでいるらしい。

香道と茶道は室町時代に似たような経緯で成り立った過去を持っており、お互いに影響しあっているという。現代でも茶道や香道をたしなむ雅人が多いことをみてもわかる。ところが、中国茶、特に台湾の茶の文化が日本に入ってきたときに、日本ですでに長い歴史をもった香道の知識を持った人が、その普及にかかわらなかったことが、この「聞香」を「もんこう」というようにしてしまったのではないか。

個人的には、すでに「もんこうは」が言いやすくなっているので、まさら「ぶんこうはい」に改めるのも面倒くさいし、「もんこう」でも間違いではないわけだから、いままでどおり「もんこうはい」と呼ぶことになるのだろうけれど、やはり「ぶんこうはい」が日本語の読みとしては正統派であるということを知ったことは、一つ賢くなったかもしれない。(笑)



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コメント
この記事へのコメント
 濁点だと香りまで濁りそうだから・・・とかどうですかね?まぁ話言葉として根本的に言い難いので変化したとか・・・知らない言葉だったとしても発音しにくいです。
 言葉って常に変化していくものだから、例えば若いヒトが使う言葉をケチつけていても、もともとの正しいとされる言い回しが廃れてしまう場合も出てくるのではないでしょうか?
 極端な例ですがワタシも好きではない、「食べれる」なんて典型的で完全に定着してますよね。
#このエントリーで数日後からは「ぶんこうはい」で検索すると5件出るようになります。(笑
2004/05/29(土) 17:55:56 | URL | しながわ #79D/WHSg[ 編集]
中国語の日本での呼び方は、何でもありの世界なので、元からあった日本での伝統的な読みを当てはめなければならないということでもないのですよね。
そもそも、その日本での伝統的な呼び方自体も、しながわさんご指摘のとおり、「変化するもの」ですから、いいにくい呼び方は変わっていくのでしょうね。
2004/05/29(土) 19:34:41 | URL | ひらた #79D/WHSg[ 編集]
わたし、個人的に、「香りを聞く」茶杯という意味で使う聞香杯という表記に対して、「もんこう」と発音するのって、何故か凄く不自然に思えてて嫌いで、だからといって「ぶんこう」というのもヘンだと思っていました。
で、心の中ではいつも「ききこうはい」と読んでいます。つーか、音読みって好きじゃないことが多いんですよね。微妙に野暮ったくて。「等々」を「とうとう」と読む野暮ったさですね。やっぱ「などなど」って読みたい、みたいな感じです。
2004/05/30(日) 01:41:46 | URL | のーとみ #79D/WHSg[ 編集]
えーと、正確な知識でないので(だったら書くな、と言わないでね。)、なんですが、香道のお道具では聞香炉というものがあります。念のためネットでひいてみると「もんこうろ」ではみつかったけど、「ぶんこうろ」ではひっかかりませんでした。
私が一回だけ経験した香道の席で説明を受けた時、特に違和感がなかったので「もんこうろ」と言われてたと思います。
おっしゃるとおり、聞香をもんこう、ぶんこう、あるいはききこうでひっかかってはいます。
が、お道具で「もんこうろ」が普及している為に「もんこうはい」という言葉が作られたのではないでしょうか。
ちなみに、「もんこう」という言葉の由来は、神様にお願い事をする時に線香を立てて、天上にいる神様へ知らせ、お願い事を聞いてもらう、ってところから来ていると聞きました。
つまり、線香を焚く、香りが上へ上がる、神様が気づいて、願い事に耳を傾ける(聞く)っていう流れです。
ただし、これは日本の話。中国で「聞香」という言葉があるのかは知りません。
2004/05/30(日) 01:55:47 | URL | 凸ぷう #79D/WHSg[ 編集]
>>のーとみさん
読み方で不自然とか、「その読み方嫌いだな」(笑)というのはありますよね。日本語の語感としては「ききこう」っていうのが一番らしいですね。
>>凸ぷうさん
いろいろとそのご香道の方にお話をいただきました。そもそも、香道では、「ぶんこう」が正統だったようですね。
ご指摘の「もんこうろ」は「紋香炉」から「文香炉」そして「聞香炉」に漢字表記が変化してきたようなので、「もんこうろ」と呼ばれるようになったみたい。だから、「ぶんこうろ」よりも「もんこうろ」となる必然性みたいなものがあったのでしょう。このような変遷が読み方に影響しているというのは面白いですね。
が、もんこうろという知識がある人が「もんこうは」と読んだのかどうかは、疑わしいなと僕は見ています。
2004/05/30(日) 09:07:51 | URL | ひらた #79D/WHSg[ 編集]
はじめまして。いつもROMさせていただいている中国語翻訳者(中国茶はわりと初心者)です。
中国語に「聞香」という言葉はあります。現代中国語で「聞」は「においをかぐ」という意味です。「聞香」で香りをかぐ、という意味です。
また、日本語で「聞き香」というと、香りをかぎ分ける、という識別の意味合いも出てくると思いますが(聞き酒、聞き茶のように)、中国語の「聞」にはそのような意味はなく、あくまで鼻でにおい(良い香りも悪臭も)をかぐ、という意味だけです。
読み方の話とは離れてしまいましたが、以上ご参考になれば幸いです。
2004/05/30(日) 10:13:29 | URL | ヤコ #79D/WHSg[ 編集]
ヤコさん、こんにちは。コメントありがとうございます。大変参考になりました。
中国語に「聞香」という言葉があること、その意味は存知あげておりますが(こういうきちんとした方からのレスだと、安心できますよね。>凸ぷうさん)、そういう中国語が日本に入ってくるときに、さまざまな読みが無秩序に氾濫することになる過程を、少しばかり究明してみたくて、この記事をUPしました。
しばらく前から、知人と無数にある「中国茶」の日本での「読み」を統一しようという試みを始めて、めちゃくちゃ高い壁に突き当たって挫折しておりますが、なにかいいお考えはありませんか?
中国茶の多くは「音読み」で読まれていることが多い一方で、現地の言葉の発音を日本語にした読み方なども混在しており、特にお茶を教える立場にいる人たちは苦労されているようです。
レピシエ系列の緑碧茶園は、その読みを中国語発音に近い形でカタカナ表記をしていますが、それはそれで、今ひとつ違和感があったりします。
日本語自体古くは外来語ですが、それが日本文化の中で、日本固有のものとして定着してきましたが、茶文化は長い時間をかけて、その時々に輸入されてきているもの。それが旧来の日本で発展した言葉と結びつくときに、様々な変容が起こるのは、大変興味深いものがあります。
特に、「聞香杯」などは、ここ数十年に台湾から入ってきたもの。こういうものが、中国語読みされないで(中国語読みを日本語風に読むとウェンシャンベイでしょうか)、日本語読みされるようになったのはなぜなのか、しかもそれが、古くから伝統的にある読み方をされなかったのはなんでなのだろう、そんな疑問にちょこっと挑戦してみようかなと思ったしだいです。でも、まだまだですね。(笑)
2004/05/30(日) 10:32:09 | URL | ひらた #79D/WHSg[ 編集]
ひらたさん、早速のレスありがとうございました。
まず、本題の「聞香杯」(おっしゃるとおり、中国語では「ウェンシャンベイ」、かなり厳密に言えば「シャン」は「シアン」に近い音です)の方ですが、確かにミステリアスですね。根拠はなくて完全な推測ですが、「なぜ」というのは、意外にも偶然の産物なのかもしれません。たとえば、最初に「聞香杯」を輸入した人が「ぶんこうはい」より「もんこうはい」のが何だかカッコイイや、と思ってルビをふり、それがいつしか定着したとか。明確な答えが見いだせれば、それに越したことはないですが、まず「なぜ?」と疑問を抱き、それを追究していくプロセスが面白いですよね。
そして、「中国茶の日本での読み方を統一しようという試み」ですが、確かに、いろいろな読み方が混在する現状は不便が多いですよね。しかし、実際に統一しようとなると、これは言語学的領域に絡む奥深い問題があるので、かなり難しいのではないでしょうか。問題は、具体的には2つあると思います。
第一に、統一的な基準を定め、なおかつ普及・定着させるに十分な機関や個人(お茶の世界の毛沢東的存在?(笑))が存在しないことです。仮に、何らかの形で読みの規範を決められたとしても、「それ以外使ってはならん」というある意味の強制力が働かないと定着に至るのは難しいと思うんですよ。
第二に、漢字自体の問題です。基準を設けるにしても、日本語の漢字は読みが複数あります。中国語も、いわゆる北京語のほか、広東や福建や上海などいろいろな方言で発音は違いますし(以前にひらたさんが書かれていた「プーアル茶」と「ポーレイ茶」のような例です)、最も標準的な北京語に準拠するにしても、カタカナ表記が不可能な発音が多々あるので、あえてカナ表記する場合の基準が別途必要になるでしょう。また、仮に「現在最も定着している読みを基準とする」と決めても、やはり中国語の発音由来の場合は「カタカナ表記の基準」の問題解決が必要になるでしょう。
漢字は表意文字なので、漢字文化圏の者どうしなら、音声が違っていても書けば通じるという便利さがあります。それゆえに、英語などの表音文字の言語に比べて、相対的に音声の重要性が低下し、ひいては多様な発音の発生を許す、という特徴があるように思います。(これは多分に学術的テーマなので、これ以上ムズカシイことはわかりません。(^_^;))
いろいろ書きましたが、要は相当に困難な作業と見て間違いないだろう、ということです。確かに、「りざんちゃ」、「なしやまちゃ」、「リーシャンチャ」等が混在するのは面倒ではあるんですが……。
2004/05/30(日) 22:19:21 | URL | ヤコ #79D/WHSg[ 編集]
>>ヤコさん
ありがとうございます。全ておっしゃるとおりでして・・・。
一応、一番目の問題に関しては、いろいろと考えているのですが、とりあえず中国茶を教えている人たちの間で共通認識を作っていくということを目的に、いろんな人を巻き込んでいくことになるのかなあと思っています(でも、中国茶関連の方は、個性豊な方が多く「私が使ってるのが正しい」的な部分があって、かなり難しいです。)。
そのための方法をいろいろと模索中ですが、そもそも、ご指摘頂いた2番目の問題が壁なんですよね。そっちで挫折状態です・・・。(^^ゞ
2004/05/31(月) 08:32:16 | URL | ひらた #79D/WHSg[ 編集]
ずいぶん前の記事ですが、少し気になったもので。

香道をやっているものです。
私たちは、「聞香炉 」は、普通、ききごうろと読みます。
「聞香 」は もんこうと言います。ブンコウとは言いません。
「香(こう)を聞(き)く」 とは香の香りをかぐことを意味します。

台湾で茶藝館の方から色々教えてもらった時に、日本統治世代の年配の店主は、聞香杯(ウェンシャアペイ)のことを、「もんこうはい」と日本語で説明してくださいました。

私がお香を習ったのはそのあとでしたので、ごく自然に聞香(もんこう)と聞いて、違和感はなかったです。

聞 という字は、中国語(普通話・北京語)では、ウェンですが、日本語の音読みとしては、北方系の漢音のブンと、南方系の呉音のモンがありますよね。香木にしても茶の木にしても、南方のものですので、それとともにモンの音が伝わっていたのかもしれませんし、台湾語も広州由来の人たちなので、呉音系の中華圏です。

それと、茶の文化が日本に伝わったのは古いですが、中華圏で茶藝として聞香杯を使うようになったのは比較的新しいのではないでしょうか?

日本の香道や茶道の成立は室町時代の頃です。台湾茶の文化として、茶藝の形で出来上がったのは、近年のことです。

もしかすると、聞香杯の読み方は、日本の茶道とか香道の影響ということも考えられるとすれば、日本の読み方に習ったほうが自然かもしれませんね。

まったく、遅いコメで、失礼いたしましたが、以上、私の知見の範囲で述べさせていただきました。
2020/05/17(日) 10:35:34 | URL | ひろ #-[ 編集]
ご指摘感謝です。
ひろ様
こちらはだいぶ放置しているblogなので、今頃コメントをいただいていることに気が付きました。香道をされている方が「もんこう」で違和感がないとおっしゃるということなら、それが政党なのではないかと思います。広辞苑の記載に引っ張られた問題提起をして遊んでいた当時の記事なので、好き勝手なことを書いていますが、ご指摘いただいた通り、聞香杯の歴史は非常に浅く、台湾でウーロン茶がメインになったここ100年以内のことではないかと思います。日本から伝わったというのもご指摘の通りでしょう。中国茶に関するあれこれは、文革ですっかり壊滅的になったため、思いのほか日本の文化が逆輸入されていますし、台湾の茶業は、日本統治時代の影響を大きく受けて(紅茶メインでしたが)いますから。その意味でも、日本語の読みに従ったほうが良いとのご指摘は、まさに正的を射ていると思われます。
いろいろとご指摘感謝いたします。
2020/09/28(月) 15:05:29 | URL | tearecipe(サイト管理者) #-[ 編集]
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