
「中国茶」、「五感」
というキーワードは、確かによく使われる。
僕にとってこれらのキーワードを見ると
すぐに孔先生の『中国茶・五感の世界―その歴史と文化』
を思い出してしまうのだが、
この本はそっちの路線ではまったくない本。
うーん。そっちの五感かあ・・・。
All About時代に
お茶と美容、健康について記事を書いてくださいといわれ
断り続けてきた分野ともいえる。
でも、こういう切り口って人気があるのだよね。
まさに需要があるからこういう本も生まれるわけで
それはそれで否とはしない。
設えを美しくして
優雅に健康に、そして楽しく。
なんて素敵な中国茶。
そういう世界から距離をとってずいぶん経つけれど
そういう世界はそういう世界でありなんだと思う。
たまにこの手の本をみたり
blogを見たりしながら、
最近では、おお、すごい工夫がされていて
お茶の世界も進化したんだなあって
かなり本気で感動したりもする。
武骨で凛とした
陰翳礼讃的な茶道も
庶民の蓋碗茶のような世界も
そしてこの本が描き出す世界も
お茶の世界であることには間違いがない。
『五感で楽しむ中国茶』
出版社: オフィスエム; AB版
著者:林圭子
発売: 2015年11月7日
ISBN-10: 4904570987
ISBN-13: 978-4904570982

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岩間先生の本が出版された。
もともと、お茶は神農が発見したという伝説のとおり、その効能が重視されてきたのだが、僕自身、「おいしい」から入った人間だったので、あまり興味もなく、薬としてのお茶というスタンスには、意外とアレルギー的な感覚も持っていたのだけれど、岩間先生にであって、岩間先生の書かれたものを拝読するうちに、なるほどねと、すとんと落ちるものを感じた。
もちろん、今となってはただ単に個人的な楽しみのためにお茶を飲むだけになっているのだけれど、それでも、たまにはこの手の本を開いて、ふむふむとお茶について知ることができる時間というのはとても楽しい。
内容は書籍説明にあるように、まさに「古代から近世まで、中国と日本の医薬書や各種史料を渉猟し、茶の効能と歴史を追う。」というもの。ちょっと中国茶の知識がある人にはとても読みやすい内容にまとめられているのではないかと思う。
こういう本を読むと、はるか古代のお茶に思いをはせる熱い想いを、その昔僕も持っていたんだなあということを思い出したりする。
お茶の歴史ってやっぱり面白い。
『喫茶の歴史: 茶薬同源をさぐる』
著者:岩間 眞知子
出版:大修館書店 (2015/1/16)
発行:2015年1月6日
ISBN-10: 4469233153
ISBN-13: 978-4469233155

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坂田先生など、そうそうたるメンバーの手による
『中国黒茶のすべて』の改訂版が発行されました。
まだどこがどんなふうに改定されたのかは読んでませんが
黒茶を知るためのテキストとしては最適なもの。
この本を読まずに黒茶は語れません!
『微生物発酵茶 中国黒茶のすべて』
著者:呂 毅、 駱 少君、坂田 完三、郭 〓飛
出版:幸書房; 改訂版
発行:(2014年08月
ISBN-10: 4782103786
ISBN-13: 978-4782103784
http://www.amazon.co.jp/dp/4782103786

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2002年11月に初版が出て、2011年11月までの間、度重なる重版を繰り返してきた『中国茶の本』ですが、どうやらこの度絶版になったようです。長い間、みなさんに読んでいただけて、本当にありがとうございました。
すでに、中国茶の世界で私の役割は終わったとおもっていますので、今後は後続の方々にどんどん活躍していただければと思います。
もう10年以上前になってしまいますが、この本を作った時の楽しかったこと(その様子は、こちらから)は、今でも忘れません。橘内さんとの毎日のようなメールのやり取り、日置さんの事務所での茶葉や茶器の撮影、お店への取材など、本作りって楽しいなって、本気でおもいました。
本業関係の本作りは、ただただひたすら原稿を書くだけなので、全然楽しくありませんが、この『中国茶の本』で、本作りの楽しさを教えていただいたことは、僕にとって本当に貴重な体験でした。
初版本にこの本作りに関わってくださった方々のサインが残っていますが、僕にとってはそれが一番の宝物です。多くの人に読んでいただき(最終的には5万分ぐらいでたのかな?)、そして少しでも中国茶普及に貢献できたのなら、本望です。

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僕が中国茶を勉強し始めたころ、唯一中国で信頼できるテキストが『中国茶経』だった。
その後知り合うことになる姚国坤先生が執筆陣に参加していたこのテキストは、ぜんぜん知られていない中国茶の世界に僕を導いてくれたものだ。
もちろん中国語なので、わからないことも沢山あった。ただ、漢字であったことが救いで、中国語の辞書を引きながらこの本と向かい合った日々が当時は続いたのだった。
その後、中国でもお茶の世界が広がって、テキストも様々なものが出版されるに至っている。『中国茶経』よりも茶葉に関しては『中国名茶誌』の方が詳しかったし、図録に関しては杭州の博物館の『品茶説茶』の方が美しくて見ごたえがあった。そのうち、中国茶の世界から徐々に離れていって、多くの書籍を処分したけれど、それでも、なお、『中国茶経』だけは、手元において、時々ぱらぱらとめくっていた。

その『中国茶経』が2011年に改訂されていたのは全然知らなかった。何処がどんなふうに改訂されたのかはわからないけれど、僕が最初に入手した時にはハードカバーだった1991年の初版本も、その後ソフトカバーになったし、未だに改訂版が出るとは、やっぱり中国でもベストセラーだったんだなあと、ちょっと感動したりする。
そろそろ、オフィスに置き去りにされているお茶の本たちを片付けなければいけないのだが、家とオフィスに一冊筒おかれた『中国茶経』、一冊は自炊して、iPadで持ち歩くのも悪くないかもしれないなあ。

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少し前に出版されていた茶馬古道の紀行記を
たまたま新宿の書店でみつけた。
中国の大学で教鞭を執った著者が綴る
茶馬古道の今を辿る旅。
雲南易武からラサを越え、遥か西まで続く茶馬古道。
そこにはロマンが詰まっている。
人、馬、お茶そして文化も一緒に通り過ぎていったにちがいない。
茶を輸出し、優秀な馬を買い求めた中国の
それによって伝播した多くの文化。
その痕跡を辿った秀逸な紀行記である。
『お茶の道 馬の道 -悠遠なる茶馬古道を行く』
著者:多田 碩佳
価格:1,680
出版:宮帯出版社 (2012/12/5)
発売:2012/12/5
ISBN-10: 4863668716
ISBN-13: 978-4863668713

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小川後楽先生の新刊書がいつの間にか出ていた。
茶の文化の祖、陸羽や蘆仝の足跡をたずねて中国各地をめぐる先生の壮大な茶の紀行。
龍井茶、蒙頂茶など名茶を求めて山深き清水の地へ
さらに食べる茶をさぐってビルマへ……
茶の文化の時空を往還する40年の遊歴を一冊にまとめた大作とのこと。
雰囲気的には布目先生や松下先生の中国茶紀行に近い気もするが
流石煎茶道の家元、漢詩をたずさえながら歩くさまが素晴らしい。
中国茶に興味のある方は是非ご一読を。
『茶の精神をたずねて: 時を追い、地を駆けて』
著者:小川後楽
出版:平凡社
発行:2013/11/8
ISBN-10: 4582623069
ISBN-13: 978-4582623062
AMAZON:http://www.amazon.co.jp/dp/4582623069

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SIGMA DP2
『香港飲茶読本』に先立つこと2か月。この『超級マル食香港』が出版されていた。これも菊地先生の作品だ。こちらは飲茶にとどまらず、香港の食全般に目を向けたおいしい一冊だ。写真好きから見ると『香港飲茶読本』よりも広い視点で香港を切り取っているので、香港の魅力がより凝縮されているように見えて、好ましい。陸羽と陸羽の茶についても触れられてはいるけれど、むしろ他にも沢山魅力があるんだよ、香港にはと、この本は教えてくれた。
いはこの本を開くと、あちこちに付箋が張り付けられていて、この本片手にあちこちお店を巡ったことが思い出される。蓮香楼とか郷村飯店とか夏銘記とか・・・。おいしかったなあ。
これらの本は裏付けを見てみると、1997年に発行されている。僕がネット上にHPを開いたのが1996年なので、そんな時代の本だったのだ。この後中国に返還された香港は、以前のような魅力も減少し、その後みんなの視点は台湾に移ってしまったのだけれど、今でも当時の香港の魅力は本当に輝いていたなあって思う。
これらの本をひも解きながら、併せて牛嶋直美さんの『香港こだわり食材百貨』も併せて読むと、もう気分は当時のまんまという感じだ。ああ、やっぱり僕は香港が好きなんだなあ。だからやっぱり茶も香港茶が僕の原点だなあって今更ながらに思ったりする。
『超級 マル食香港』
出版:平凡社 (1997/03)
著者:菊地和男
ISBN-10: 4582633196
ISBN-13: 978-4582633191
発売:1997/03

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SIGMA DP2
まだ香港が中国に返還される前の魅力満載だったころ、菊地和男さんの写真に出会った。最初は雑誌太陽の香港特集。その素晴らしい香港写真の数々。ぱらぱらとめくっては、ああ、また香港に行きたいとため息をついてた頃のこと。
そんな時代に香港で中国茶に出会ったのも、今となっては懐かしい。その菊地和男さんが満を持して出したのがこの『香港飲茶読本』というコロナ・ブックのムック本。香港の食の魅力がこれでもかという感じで掲載され、いま読んでも、ああ、また陸羽で飲茶がしたいとか、シティーホールのガラガラと引きずられるワゴンに乗せられた数々の点心を思い出してみたり。
この飲茶読本には、もちろん中国茶の紹介だとか、イップ先生の投稿があったりと、中国茶にずっぽりと嵌った人間には、本当にたまらない本だった。当時お茶の本がまだまだ少なかった時代にあって、いわば香港茶芸のバイブル的な側面もあったのではないだろうか。
今やあの時代ほどお茶にぞっこんというわけではないが、トータルとして茶と点心という飲茶の在り方が、香港の魅力の大きな中核を占めていたのを思い出しながら、またあの時代の様に、香港を楽しめたらなあって思ったりする。
そういえば、その時代コミュニケーションツーツの中心だったNifty Serveのお茶の会議室で、「何時か香港で飲茶を食べるオフを開きたい」が合言葉だったのを今更ながらに思い出したりする。香港が中国に返還されてしまったことが、本当につくづく残念だ。

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髙橋忠彦先生がこんな本を書かれていたを知らなかった。
気軽に茶の古典を紐解くことができるのは、とても嬉しいこと。
その昔、高橋先生の講義を茶館銀芽で何度もお聞きしたことがあったが、
とても真面目な先生で、そこがとても好感がもてたものだった。
この本で取り上げられているのは
中国唐時代に陸羽が書いた『茶経』
鎌倉時代に禅僧栄西が著し将軍源実朝に献じた『喫茶養生記』
そして中国の『茶録』『茶具図賛』
この本は要するに中国古典書籍の日本語訳であり、
日本の古典の現代語訳ということになる。
そのうち布目先生の本と一緒に紐解いてみようか。
取り上げられている古典は今の茶文化とはまるで関係ない本達だが
それでも茶を知りたい人たちには多いに参考になる古典ではあるのだから
原文に悩まされずに読めるということは画期的なことではないだろうか。
『現代語でさらりと読む茶の古典
茶経・喫茶養生記・ 茶録・茶具図賛』
著者:髙橋忠彦
出版:淡交社
発行:2013年4月2日
価格:1260円(税込)
ISBN:978-4-473-03867-8

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